第65回:『ユーキャン新語・流行語大賞2023』を大胆予想します!!
掲載日: 2023年11月24日
執筆者: 株式会社スクウェイブ
カウンセラー
和田 柊平
毎年、この時期になると楽しみにしていることがある。流行語大賞だ。ハロウィンが終わり街にクリスマスソングが流れ始め、流行語大賞のノミネートワードが発表されると、今年ももうすぐ終わるのかという感慨がこみあげてくる。流行語大賞にノミネートされた30語を見ながら、今年はどんな年だったかなと振り返ったり、どうしてこの言葉は入っていないのかというような話をしたりするのも楽しい。
今年も、「ユーキャン新語・流行語大賞2023」のノミネート30語が、11月2日に発表された。阪神タイガースの岡田監督が掲げたスローガン「アレ(A.R.E)」や、Twitterから名前が変わった「X」、WBCの感動を思い出す「憧れるのをやめましょう」や「ペッパーミル・パフォーマンス/ラース・ヌートバー」、通りを歩くたび何度も見かけた「電動キックボード」など、やはりこの言葉が順当にノミネートされるのだなという言葉が数多く含まれていた印象を受ける。
逆に、なぜ選ばれなかったのだろうかと思った言葉といえば、「三笘の1ミリ」と「ブラボー」が思い浮かぶ。もちろんカタールW杯が開催されたのは昨年のことだが、とはいえ流行語大賞のノミネート30語が発表された後に流行した言葉だっただけに、今年に持ち越したうえでノミネートされるのではないかという期待をひそかに抱いていたのだ。2021年の流行語大賞では「親ガチャ」がトップ10入りしたが、日本代表がスペイン戦で見せた「三笘の1ミリ」は、逆境にあっても最後まで粘り強くあきらめずに全力を振り絞ることで奇跡を起こしうることを教えてくれた(逆に、リュディガー選手がふざけて走ったドイツは日本に敗れ、グループリーグ敗退となった)。だからこそ、私は日本代表の戦いに、1年過ぎても決して忘れることができないほどの強い感動を覚えたのだ。
とはいえ、今年を象徴する言葉を1つだけ選ぶとすれば、やはり「ChatGPT 」になるのではないだろうか(私自身が当社で仕事 をするなかでITの話題に触れることが多いことによるバイアスは否めないが)。AIに関連する新聞記事やニュースを見聞きしなかった日はなかった。さらに、私の趣味の一つに書店めぐりがあるが、どんな小さな書店に行ってもAIに関連する本は確実に棚の一角を占めていた。まさに今年の主役と呼ぶにふさわしい「チャットGPT」こそ、今年の流行語大賞を受賞するだろうと予想する。
これだけ話題になるのは、社会・経済に与えるインパクトも極めて大きなものになることが容易に想像されるからだろう。せっかくChatGPTについて書いているので 、ChatGPT(GPT3.5)に、ChatGPTがもたらしうる社会・経済構造の変化を聞いてみた。質問文は「ChatGPTがもたらすであろう社会・経済構造の変化の例を挙げてみてください。」とした。以下はその答えを転載したものである。
「ChatGPTのような自然言語処理技術が進化し、広く普及することで、様々な社会・経済構造の変化が予想されます。以下に、その例を挙げてみます:
1. カスタマーサービスの変革:ChatGPTや同様の技術を利用した高度なカスタマーサポートが可能になり、企業は人工知能を活用して24時間対応のサービスを提供できるようになります。これにより、コスト削減やサービスの向上が期待されます。
2. 業務プロセスの自動化:ChatGPTは複雑な業務プロセスを理解し、自動的に処理する能力があります。これにより、企業はルーチンな業務を自動化し、従業員はより戦略的なタスクに集中できるようになります。
3. 教育の変化:ChatGPTは教育分野での利用が期待されます。個別の学習支援やオンライン教育プラットフォームでの活用により、より効果的でパーソナライズされた学習経験が提供されるでしょう。
4. コンテンツ制作の効率向上:記事、レポート、広告などのコンテンツ制作作業において、ChatGPTはアイデアの生成や文章の構成を支援することができます。これにより、コンテンツ制作者はより迅速かつ効果的に仕事を進めることができます。
5. グローバルコミュニケーションの促進:多言語対応や文化的なニュアンスの理解においても進化した自然言語処理技術が活用され、国際的なコミュニケーションが円滑になるでしょう。
6. 雇用の変化:一方で、ルーチンなタスクの自動化が進むことで、一部の従業員の職務が変化する可能性があります。これに伴い、新たなスキルや専門知識が求められることも考えられます。
7. プライバシーとセキュリティの懸念:ChatGPTがますます広く利用されることで、個人のプライバシーとデータセキュリティの問題が浮き彫りになるかもしれません。個人情報や機密情報が自然言語処理技術を通じてアクセスされるリスクに対処するための新しい規制やセキュリティ対策が必要になる可能性があります。
これらはあくまで予測であり、技術の進歩や社会の変化により変わる可能性があります。」
上に挙げられた例には含まれていないが、最近では「AIのアシストでソースコードを書く」といったAIの活用法も登場している。非IT部門が業務に活用するアプリケーションを自ら製作することは「市民開発」と呼ばれているが、ノーコード・ローコード開発に加え、AI技術の急発展によってさらに促進されるだろう。
このように、生成AIの活用はさまざまな可能性を秘めている。それだけに、生成AIはその活用如何によって企業の競争優位に大きな影響を与えうる。逆に、活用法を誤れば個人情報や企業秘密の漏洩を起こしかねないため、AI時代には情報セキュリティ教育の重要性がますます高まる。
最後に、2020年代に入って、社会・経済情勢は複雑怪奇である。コロナウイルスの世界的な流行、ウクライナ侵攻などで顕在化した地政学的リスク、インフレや急速な円安などの経済の不確実性、気候変動などがそれである。こうした背景から、しばしば現代は「VUCA(Volatility[変動性]、Uncertainty[不確実性]、Complexity[複雑性]、Ambiguity[曖昧性])時代」と呼ばれるが、こうした状況の中でほとんどの企業はめまぐるしく変化する経営環境への対応を迫られているのではないだろうか。
経営学者デイヴィッド・ティース(David J. Teece)は、環境の変化を感知し、機会をとらえたうえで組織内外の資源を再構成し、組織を変容させる能力こそが、激しく変化する環境に対応するために必要な能力であると述べている(この能力はダイナミック・ケイパビリティと呼ばれる)。当社では、適切なIT戦略やDX化がダイナミック・ケイパビリティを高めるために必要だとの認識から、AIの利活用や市民開発の実施、そしてその成否を左右する教育・リスキリングを取り巻く現状に関する15問のアンケートを用いてダイナミック・ケイパビリティを診断し、IT戦略及びDX戦略上の課題を明らかにするフレームワーク、「IT Dynamism診断」を開発した。中国には「危機は危険と機会から成り立っている」ということわざがある。IT Dynamism診断を通じて、未来に向けた戦略を練り上げ、危機を機会に変えるお手伝いをさせていただきたい。
※IT Dynamism診断はこちらのページ(https://www.k2wave.biz/)の「IT投資動向2023」から、あるいは下記URLからぜひ無料でご診断ください。
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