第5回:「現状の営業底上げ教育では真の営業力は向上しない」ースクウェイブ 杉村 浩二

第5回:「現状の営業底上げ教育では真の営業力は向上しない」ースクウェイブ 杉村 浩二

掲載日:2004年8月3日
執筆者:株式会社スクウェイブ
カウンセリング事業部担当役員 杉村 浩二

多くの企業が業務効率、新規商品開発に力を入れ、新しい手法の発案や検証、改善が常に行われている。しかしながら、顧客の前線に立つ営業力の強化となると未だにつまらない営業教育のみが存在する。

なぜ営業教育がつまらないかと言えば、中堅営業になっても新人営業に対する教育内容とほぼ同等のカリキュラムを実施するからである。教育を受けた人間なら分かるが、中堅であっても相変わらず“顧客ニーズ”がどうのこうのとか、“ビジョン・マッチング”などを説明する。

本当に学びたいもしくは知りたい事は、各企業に数名はいたであろう伝説的な営業マンのやり口である。

伝説の営業マンと言われた人間は、どのような人間であったか、人それぞ れイメージするものは違うであろうが、私は“ありきたりでないやり方で突出した成果をあげる営業マン”だと思っている。ありきたりでないやり方は、伝説の 営業マン本人にとっては体系化されているのかもしれないが、傍から見ると天性の才能にしか思えない。彼らは何故か顧客の頭を立てに振らせるすべを持ってい た。

これは、 90 年代前半、当時私が某ハードウェアベンダーの営業に採用された時の事である。その会社にも伝説の営業マンが存在した。幸か不幸か分からないが、私はその伝説の営業マンの下に配属された。

伝説を作るためにはいろいろなやり方があるが、彼の場合はこのような特徴があった。初回訪問したお客様をわずか数分でサービスの検討する、しないを直感的 に見分けるのである。判断が下った後の彼の話し方が変わるのは言うまでもない。その訪問の帰り道に彼は必ず“今は買わないね”又は“買うよ、だから全力で 対処するように”と言う。
何度か逆らって彼が買わないと判断したお客様にトライしたが、駄目だった。恐ろしいほど、当たっていたと言ってもいい。

一度、品川の時化た飲み屋でなぜそんなに瞬時に買う、買わないが分かるのですかと聞いた時、彼は、こう答えた。“目を見てわからんか、きっと彼はいい生き方しとる、彼は優秀な人だからきっとこっちの事もすぐわかっている。それでまじめに話を聞いているから買うだろう。”

営業であれば、誰でも少しはお客様を見れば分かるが、彼は恐ろしいほどの精度もっている。何かもっと今までの人生に裏打ちされ、培われたものがあるのだろ う。彼は、よく自分の上司だった伝説の営業マンの話をしてくれる事がある。彼もまたその上司だった伝説の営業マンにその何かを教わってきたのである。

こうやって伝説を生み出すノウハウは継承されていくのである。
伝説的なノウハウは、またそのノウハウを受け入れ、実践できるものに受け継がれ、次世代の伝説の営業マンがそこに存在する。

その後、何名かの伝説の営業マンと呼べる人間にあったが、皆、それぞれ それまでの人生に何かすばらしい体験をしている。学生闘争のスターや国体の準優勝選手、アフリカでヒッピー生活をした者など、配属される前から大多数の中 で突出した成果をあげた経験、または斬新なやり方で自分を差別化する事に意欲的に取り組んだ過去がある。彼らは、営業職に配属される前から高い営業力を発 揮できる素養を持っている。

上記にいろいろ感情論的なものを記載したが、私が言いたいのは、今一度 つまらない営業教育を見直して欲しいという事だ。現状行われている営業教育は、営業全体の底上げ教育でしかない。底上げ教育は確かに必要であるが、爆発的 な営業効果をあげるためには、伝説の営業マンの継承者を抽出して、これらの継承者にノウハウを引き継ぐ環境を構築すべきである。伝説の営業マンは、恐ろし いほど他の商談を知っているし、また素養があるものが誰であるか知っている。ノウハウ継承者に対しては、経営層と伝説的な営業マンが一体となった特別な教 育を施すことをお勧めしたい。

真の営業力向上とは、その伝説的ノウハウを受け継ぐべき者に受け継がせる仕組み作りである。

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