第42回:スクウェイブ10周年とIT標準KPI
掲載日:2013年3月8日
執筆者:株式会社スクウェイブ
代表取締役社長
黒須 豊
2013年2月をもって、当社は、営業開始以来10年が経過した。
思えば、大変短い時間であったと感じると同時に、創業期の苦労やリーマンショック直後の困難を克服してきた感慨も深い。お客様をはじめ関係者の皆様には感謝の気持ちで一杯である。
さて、スクウェイブも次の10年に向けて既に走り出した。そんな折、幸先よく、アベノミクスが、期待先行とは言え、経済に明るい光をあて始めている。私は、今回は間違いなく景気回復に向かうだろうと確信している。
もちろん、日本だけの話ではない。アメリカにおける株価も上昇カーブを描いており、各種の数値も決して悪くない。私は、おそらく、4月から始まる来年度上期には、リーマンショックの全景をバック・ミラーで捉えることになるものと予測している。
無論、戦争など不測の自体が発生すると経済にとんでもない悪影響を及ぼす危険性は否定できない。その意味において、イランや朝鮮半島情勢が世界経済の足を引っ張るようなことにならないことを祈るばかりである。とりわけ、日本列島の周辺には、およそ近代国家とは言えないような振る舞いを平然とする国が複数存在していることは大変残念である。何とか、大過ないレベルで事が良い方向に向かうことを願いたい。
とは言っても、総じて言えば、多少の国際間の緊張が増すことがあったとしても、来年度は年間を通じて言えば、上昇に転じると予想するアナリストが多いし、私もそう思う。
そこで、景気回復を目前に控えて、企業のITマネジメント、とりわけ投資マネジメントはどのようにあるべきなのか?
当然ながら企業戦略に即して、出遅れることのない攻めの投資が求められる一方、不測の自体にも対応可能な柔軟なマネジメントが求められる。
そんなこと出来るのか?
というツッコミが聞こえてきそうだが、少なくても、理想に向けた体制を構築することは可能である。そのために、まず求められるのが、本当に会社にとって必要な(有効性の高い)システムとそうでもないシステムを普段からメッシュ細かく峻別することである。私はシステム活用度マップ、あるいは、システム有効性マップと呼んでいるが、そのような企業全体のシステム体型図を持つことである。
実は、多くの企業で、システムの俯瞰図は既に作成されているが、それでは不十分なのである。活用度や有効性を定量化した形でのマップを有していなければ、単に、「この領域にはこんなシステムがあるんだね」ということが言えるに過ぎない。
もちろん、企業全体としてシステム化領域の充足度を示すという意味において、それらの俯瞰図が無意味だと言うことではない。ただし、活用度や有効性を定量的に示す指標がセットになっていなければ、IT投資(保守費用も含めて)を大胆かつダイナミックに、企業戦略に即して変化させることは不可能である。
その定量的な指標とは何か? それは、IT標準KPI(Key Performance Indicator)である。横断的かつ定量可能な単位でITシステムの有効性を示すKPIが必要なのである。つまり、各システム(可能ならば機能単位で)を横断的にKPIによって評価できるならば、より企業戦略に貢献するシステムのIT投資を多くし、相対的に企業戦略に対する貢献度の低いシステムに対するIT投資は抑えるというコーディネーションを実戦する素地が出来上がる。
ただし、企業横断的に評価可能なIT標準KPIは企業毎に異なってくる。その適切な設定が何よりも大事であり、KPIとしての丹念な検証が必要である。既に、先進的な企業の一部では、こうした取り組みが始まっている。ご関心あらば、是非ご一報頂きたい。
今、既に景気回復の風が吹いている。その風は時には突風のような力強さを感じさせるものである。一方、風はPM2.5のような招かざる客も運んで来る。より良い風を受け、競合の後塵を拝することを避けたいCIOの皆さん、是非、スクウェイブにご期待頂きたい。