第62回:「安倍晋三元総理に哀悼の意を表します。」

第62回:「安倍晋三元総理に哀悼の意を表します。」

掲載日:2022年7月19日
執筆者:株式会社スクウェイブ
代表取締役社長
黒須 豊

世の中、何が起きても不思議ではないが、安倍元総理の突然の訃報は、銃社会ではない日本において、しかもSPもいる中での、手製の銃による殺害というあまりにもショッキングなものだった。まずは、安倍元総理のご冥福を心より祈念申し上げある。

犯人は検挙されているが、背後関係も含めて徹底的な追求をしてもらいたい。一部、いわゆるフェーク・ニュースも流布されており、そのような偽情報が拡散することを防止する意味からも、捜査当局には正確かつ迅速な事実解明をお願いしたい。

ところで、本論では、事件の真相よりも、むしろ、安倍元総理の数々の功績中、個人的に印象深いものを2つに絞って論評してみたい。

北朝鮮拉致被害者の一部奪還に成功した一因は安倍元総理が若い頃から取り組んできた成果であったし、一旦帰国に成功した蓮池さんら被害者を再び北朝鮮に送り返そうとする正に役所仕事の愚行をストップさせて、そのまま日本に帰国させることに成功したのは、何と言っても安倍元総理のリーダーシップのお陰であったことは有名である。

 次に特筆すべき点は、やはり、集団安保体制の整備(解釈変更含めて)であろう。左翼系メディアの極端な偏向報道で、あたかも当時の安倍政権が戦争を仕掛けようとしているかの如く洗脳された一部の国民もいて大騒ぎになった。

有名なところでは、公然の場で「安倍に言いたい。お前は人間じゃない! たたき斬ってやる!」と発言して注目された法政大学法学部教授の山口二郎氏の発言があるが、殺人予告、ないし、殺人行動を誘起するものとして、ほとんど犯罪の域に達する異常なものであった。また、「直ぐに徴兵制が施行される」等、非科学的な論拠も無い扇動が行われた。しかし、実際には、そのような事態が起きることは無かったし、今もその気配すら無い。

他方で、中国等、武力で他国を侵攻することを厭わない国々に対する戦略の一環として、集団安保体制の確立は急務であった。中国が台湾を攻めれば、尖閣や沖縄だけ避けて弾を撃つ保証は全くない。むしろ、地理的に見て、中国が台湾周辺の制空権を確保しようと思えば、尖閣諸島や沖縄県離島の領空侵犯は必須であり、さらに、陸地も侵攻される蓋然性はかなり高い。

その時、アメリカはどう動くのか。日米安保条約を過剰評価している人もいるが、条約では、アメリカの戦闘参加は、米議会の承認が前提となっている。つまり、戦闘が始まって、日本が単独で反撃しつつ戦闘を維持している中で、アメリカ議会が日本を助けると合意しない限り米軍は助けてくれないのである。しかも、日本の施政下にある場合に限ると条件があるので、他国に侵攻されて日本の施政下になくなったと判断されたら、米軍が動くことはないのである。

このような中で、尖閣近隣で、仮に米軍が中国に攻撃された場合、日本は米軍を支援することは出来ないにも拘わらず、尖閣で日本が攻撃を受けたら、米軍は日本を助けて欲しいというのが、旧来の建付けである。

果たして無人の島が奪取されたくらいで、米議会が米国の若者の命を懸けて日本を助けるために中国と戦争することを承認するだろうか。そりゃ、米議会の承認が得られない可能性が高いことは誰が見ても明らかだ。

元々の日米安保は旧ソ連が今日のウクライナ侵攻と同じような形で北海道などを侵攻することを牽制する効果を狙ったものだ。流石に、北海道侵攻に伴い日本国民が多数虐殺されることになれば、米議会も戦争参加を承認するかも知れない。

しかし、無人の尖閣や、沖縄の一部(米軍被害が無い範囲)が取られたくらいで、アメリカのことはいざという時に支援しない日本のために米軍派遣を米議会が承認することは考えにくい。

 そこで、安倍元総理により集団安保体制が確立したことの意義は大きい。日本が米国を軍事的に支援することを明確にした以上、米議会の意思決定にプラスの影響を与えるであろうことは間違いない。

さらに言えば、実際の有事に米議会がどのような決定をするかが100%確定ではないにせよ、日本支援の蓋然性が上昇したことは確実であり、明らかに中国にとって有効な牽制となったことは間違いない。

従来、中国は、日本とだけ、あるいは、米軍とだけ戦えば良かったのが、今後は、ほぼ常時、日米両軍を相手にした戦闘を予め念頭に置く必要性が上昇したからである。つまり、結果として、沖縄尖閣を含む地域で紛争が起きる蓋然性を低下させることに成功した。

 これらのことは、正に特筆すべき偉大な功績と言えるだろう。重ねて安倍元総理のご冥福を祈ると同時に、是非、安部元総理の崇高な意思を継ぐリーダーが登場することを期待したい。

以上

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